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学芸員コラムCOLUMN

2020年11月18日 更新 / 常設作品について

イモーションで表現する和紙彫塑「革命者 信長」

当館の作品は季節に合わせて入れ替えを行う展示(絵画・茶道具など)と期限を設けず、展示している常設作品の2種類がございます。

今回は常設作品より「革命者 信長」についてご紹介させていただきます!

 

本作品は和紙彫塑作家・内海清美(うちうみ きよはる)氏によるもので岐阜にちなみ、織田信長をテーマに17体の人型が並びます。

 

彫塑(ちょうそ)とは?

物体を削りとって描くものを彫刻、芯材に粘土などを加えて形作るものを塑像と呼びます。彫塑とは盛ると削るの両方を行う、彫刻と塑像の混合技法になります。

和紙彫塑は和紙を使用し作られた彫塑作品で、針金に麻布や綿、紙粘土でボディづくり、その上から和紙を重ね造形します。

革命者 信長

作者の内海氏は学生時代から日本のものに興味を持ち、特に和紙に強く関心を寄せました。自身で和紙の開発を行うほど。鑑賞者のイメージを膨らますために、着色は行わず和紙本来の白色をそのままに、パーツごとに和紙の種類を変えます。

 

当館で信長の生涯の代表的な8つのシーンを年代に追って展示しています。

  1. 何ものにも束縛されない信長
  2. 人生の短さ悟る「下天夢幻」
  3. 世界を夢見る織田信長
  4. 既成秩序と戦う信長
  5. 出雲の阿国も許す。楽市楽座
  6. 光秀の保守主義を嫌う
  7. 天井布武、宗教権力も否定
  8. 新しい国づくりへ、神国王、従える秀吉と家康

 

作者は作品を通して“インモーション”を大切にしているといいます。インモーションとは、動勢の源、人の内面から出てくる心の動きなど無意識のうちに顔や仕草など、言葉以上に相手に多く伝えるもののことを指し、人がたの群像、背景、小道具で構築した舞台と、照明や音楽の力で「空間物語芸術」として世界が作られています。

革命者 信長

本作品はガラスケースがなく、360度どの角度から見ても迫力のある見ごたえのある作品となっています。BGMも合わせてご鑑賞いただくとより、まるで立体の絵巻の世界に入り込んだ幻想的な空間に浸るころが出来ます。

 

内海氏の作品をご覧いただけるのは全国でも当館を含め数か所のみ。

是非、当館に足を運んで内海氏の幽玄の世界に触れてみてはいかがでしょうか?