2月28日(水)より所蔵企画展「女流画家展」が開催中です。
かつて女性が画家として身を立てていけたのはほんの一握りでした。時代が進み、女性の社会進出の増加と共に女流画家たちの作品も評価されるようになりました。今回の企画展では、社会のしがらみに囚われず自由に描くことを貫いた女流画家たちの作品を展示しています。本コラムでは展示中の作品を一部紹介します。
片岡球子 「富士」
北海道生まれ。1926年に女子美術学校を卒業後、画家の道を歩むことを両親に反対されながらも、小学校で教鞭を執る傍らで創作活動を続けます。帝展に出品しますが何度も落選を経験し、「落選の神様」とまで揶揄されました。しかし片岡は諦めずに描き続け、1930年に遂に帝展で入選を果たしました。才能を開花させた片岡はその後も多く入選を果たし、1989年には文化勲章を受章しました。
片岡の作品は型破りな構成と大胆な色遣いが特徴です。そのインパクトのある作風から「ゲテモノ」と評されることもありましたが、片岡は自分が信じるままに創作を続け、唯一無二の作風となりました。この「富士」という作品も富士山が太い輪郭線で描かれており、山の雄大さがよく表現されています。また手前に牡丹などの花々を大胆に配置することで、画面いっぱいに華やかさが感じられます。
堀文子 「ヒマラヤの青き罌粟」
東京都生まれ。幼少の頃から自然界の営みに興味を持ち、科学者の道を夢見ましたが、当時の女性に学者の道は難しく、芸術の道で表現することを決めました。常に旺盛な好奇心で新しいテーマに挑戦し、自然や生命を透き通った色彩と端正なタッチで描きました。「群れない、慣れない、頼らない」をモットーに自身が信じる道を生涯貫いた人物です。
作中で描かれているのは青罌粟(ブルーポピー)で、ヒマラヤ地方に咲く幻の花と呼ばれる花です。堀はこの花を見るために82歳の時に現地へ向かいました。高齢での登山は困難を極めましたが何とか辿り着いて青罌粟を見つけた時、堀は“神の子”を見たと語りました。黒々とした土の上に咲くラピスラズリのような美しい罌粟の青色は神聖さを感じられます。
その他にも片岡球子と共に女性画家の長老格として名を馳せた小倉遊亀や現代の日本画壇の最前線で活躍している森田りえ子などの作品も展示中です。展示は5月27日まで。是非ご覧ください!