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学芸員コラムCOLUMN

2024年8月28日 更新 / 企画展について

変化を覗く

8月28日(水)より企画展「変化を覗く」が開催中です。
画家は長い画業の中で独自の画風を模索し続けました。中には作品の雰囲気が大きく変化する画家もいます。今回は作品を通して画家の「変化」を覗いてみましょう。
本コラムでは企画展で展示する作品の一部をご紹介します。

熊谷守一 「裸婦」 1930年前後に制作

熊谷守一は岐阜県出身の画家。熊谷と言えば特徴的なデフォルメされた作品が有名ですが、若い頃は油彩画をメインに描いていました。また当時は荒々しい筆致で描くフォーヴィスムが日本洋画壇で流行しており、熊谷もその影響を受けた一人です。熊谷は裸婦を題材にした作品を多く描いていますが、情が移るからという理由で敢えて表情を描かなかったといいます。

熊谷守一 「栗」 1969年作

熊谷は76歳の時に脳卒中で倒れて以降、写生旅行をやめて自宅が創作の場になりました。自宅の庭には多くの植物が植えられており、熊谷は昼間に草花や小動物を観察してスケッチし、夜になるとアトリエで油絵にしました。明快な色彩と平面的なデフォルメの作風は「モリカズ様式」と呼ばれています。
本作品は熊谷が89歳の時の作品。「モリカズ様式」で描かれた面と線はシンプルな作風に見えますが、これらは高度なデッサン力に基づいており、熊谷の鋭い観察眼が窺えます。無垢な心で自然と向き合い続けた熊谷だからこそ辿り着くことができた画境と言えるでしょう。

その他にも本企画展ではレオナール・フジタや海老原喜之助などの作品を展示しています。展示は11月25日(月)まで。ご来館お待ちしております!